事実婚

事実婚とは

婚姻届は提出していないけれども、実質上夫婦として生活している関係を、「事実婚」といいます。「内縁」とも言われますが、夫婦として生活する意思がなく単に同居している「同棲」とは、異なります。近年、夫婦別姓の形態を取るために、事実婚を選択される夫婦も多いようです。(現在の日本の法律では、婚姻届を提出すると、夫婦どちらかの姓を名乗らなくてはなりません。)このほかにも、結婚制度や戸籍制度に疑問を感じて、婚姻届を提出されない方もいます。

事実婚で保障されるもの

婚姻届を提出している夫婦と同じように、事実婚においても、健康保険、年金関係、行政サービスや手当など一定の保障が受けられます。ただし、税法上の優遇措置については、適用がありません。

 

相続については、事実婚では法律上の配偶者とならないため、お互いに相続権はありません。パートナーに財産を遺すためには、遺言書を作成しておかなければなりません。

子どもの戸籍

事実婚の夫婦は、それぞれ別々の戸籍です。したがって事実婚の夫婦の間に生まれた子どもは、母の戸籍に入ります。(父が認知した場合は、父の氏名が戸籍に記載されます。)夫婦の話し合いにより、家庭裁判所の許可を得て、母の戸籍から父の戸籍に入れることも可能です。

増えているシニア婚

高齢化に伴い、近年老後にあらたなパートナーと暮らすシニア婚も増えています。シニア婚は、お互いの家族(子、孫)の相続を配慮し、事実婚を選択される方も多いようです。シニアの事実婚では、同居はせずそれぞれの住居に住み続け週2~3日程度など一定の期間生活を共にする「通い婚」を選択されているもケースもありますが、どちらか一方の家に同居している場合、その不動産の名義人となっている方が亡くなったら、遺されたパートナーには相続権がありませんので、パートナーが住む家を失ってしまう可能性もあります。

事実婚を証明するには

事実婚の方が、様々な保障やサービスの適用を受けるためには、公的機関や企業に対し、同棲ではなく「事実婚であること」を認めてもらわなくてはなりません。事実婚を証明するものとして、夫(未届)又は妻(未届)と表記されている住民票がありますが、さらにお二人で取り決めた事実婚に関する契約書を作成しておくと、将来のトラブル防止に役立つかもしれません。

事実婚を解消するには

婚姻届を提出した夫婦は、離婚届を提出しないと離婚できませんが、事実婚の解消は、手続きもないので自由にできます。ただし、事実婚を不当に破棄された場合は慰謝料の請求ができますし、離婚で認められている財産分与、養育費などの請求も認められています。事実婚を解消するのは簡単ですが、別れるにあたって様々な問題が残ります。婚姻している夫婦が離婚する際に協議書(合意書)を作成するのと同じように、事実婚の解消を取り決めた合意書を作成しておくとよいでしょう。

事実婚の方のための書類を作成いたします

事実婚の方にとって、最も必要なものは、遺言書を作成することです。パートナーに財産を遺したい方は、必ず遺言書を作成しておきましょう。その他契約書、合意書の作成をお考えの方も、お気軽にご相談下さい。お二人のご希望を伺って、書類作成のサポートをさせていただきます。

また、遺言執行者(遺言者が亡くなられた後、遺言書の内容のとおりに手続を行う者)や、公正証書遺言で必要となる証人のご相談も承っております。お気軽にご相談下さい。